天気の話

ヲタクの世間話的な何か

ジオウのキバ編を純粋に恋愛物として見てみたよ

昔から、理屈と膏薬は何にでもつくと申しまして、辻褄を合わせようとしてみれば案外なんとかなるもんです。

とはいえ筋道が十重二十重と増えてまいりますと、筋道同士がぶつかって工事中になっちゃったりしてね。いっつまでも普請中の渋谷みたく、3日経つと行先への出口がわからなくなってね。そこらへんの捌き方が小説家やら脚本家の先生の腕でもあるんでしょうか。
マクラが長いねどうも。

 

衝撃のマンホールですよ。違う!そう!(いだてんすげえ面白いから皆、大河も見ような!)キバ編の話です。
細部のクセが強すぎて、よくわかんないうちに暴れて去ってった台風みたいな2話だったなというのが、率直な初見の感想なんですけども。

とはいえ昨日の43話で、ソウゴがオーラに助力するのはどうなんだ?ってやっぱりとっさに思うわけです。あの台風は集団白昼夢だったってことですか?
でもその直後、いやこれ案外、辻褄合わせようとすればちゃんと合うんじゃないかな?と思ったんですよね。
他に同じこと書いてる人がいるかもしれないけど確かめずに書いてみる。たまには長文書きたい気分なもので。あ、書いてる人間はライダーシリーズ超ビギナーです。

 

あの話を、シンプルにタイトルの通り、青年に成りかけの男子の初恋、それも歳の差恋愛の話として見ると、結構すっきり筋が通るんじゃないかなって。

甘…くはないと思うんだけど、切ない初恋、という表記ならギリまとめられるような気が、時間差でしてきました。

 

祐子さんが真実セーラさんだったかどうかはこの場合、ギミックの話なんでどっちでもいいです。

ソウゴ君は年上の綺麗な女性にときめいて、女王になるなんてぶっ飛んだ発言のおかげでシンパシーも抱いてしまって、きっと思い出の彼女だって思いこんで、一方的に独りよがりに恋をした。
高校生の恋として、納得感ある。わかる。
相手の背景をある程度でも把握する前に、ちょっと接しただけの印象で恋をしてしまって。それって私を好きなんじゃないよね?私と付き合うイメージが好きなだけだよね?みたいなやつ。
男女問わず、そこそこの率で発生してると思う。

一方の祐子さん視点で見ると、まあ…かわいいよね。奥野さんの顔がかわいいとかそういう話ではなくて(いや例えば夏映画での和装とか、もうかわいい以外で形容できない時あるけどそれはそれ)。
年下男子があんなまっすぐに、オレあなたのこと好きですって態度で来たら、悪い気はしないっていうか、絆されますよ。煙に巻くような「ずっと雨」って心象風景の表明に対して「傘になる」なんて答えは正直満点じゃん。雨がつらいってことだけは明確に伝わってくる言い方だったし。

でもそれは「絆され」以上ではなかったんだな、というのが最後の教会シーンでわかる。


ソウゴ君がどんなに願っても頼んでも、彼女は復讐をやめなかった。
あげくに最後の教会襲撃は、もはや復讐の形を取ってすらいない。だって哲也さんの結婚相手は祐子さんの服役中に新しくできた恋人だった。ただただ哲也さんを他の奴には取られたくないっていう独占欲オンリーでやってる襲撃だよね。
祐子さんが恋していたのは、最初から最後までずっと哲也さんだけだった。ひょっとしたら恋から執着だけに変わってたかもしれないけど、「焦がれてた」と表現した方が より近いかなあ。

ソウゴ君を気にかけてはくれたし、何なら「子作りしちゃう?」って話題を持ち出すくらいには好きになってくれてた。(後から年齢考えて、おいポリスメン案件ギリギリじゃねえかって我に返ったので、釈さんも奥野さんもすごいですよ本当に。)
でも恋はしてくれなかったよね。祐子さんにとってソウゴ君はどこまでいっても、かわいい年下の男の子でしかなかった。

 

「傘はいらない」ってつまり、あなたの恋心は受け取れないってことだよね。
あなたの民にもならないってことだよね。
彼女は明確に犯罪者で、しかも民ではなく女王様だった。
ソウゴ君の心も救いも受け取らないよって。こちらの罪の共犯者にもならなくていいよって。

抽象的な表現ではあるけど、祐子さんはソウゴ君を全力でフってる。
歳の差恋愛の成就しないやつの王道ですやんこれ。

 

キバ編の36話の時点で、ソウゴ君は死を巻き戻せるんですよ。
ゲイツ君とツクヨミちゃんを巻き戻した後の話なんですよあれ。
でも巻き戻さなかった。巻き戻せなかった。私はあなたの傘はいらないって拒絶されたから。

 

ソウゴ君、ドがつくほどの実利主義な面があるし、この流れでオーラを恨んで復讐に走る性格ではないですよね。
でもってこんな思いっきりフられた男子、周囲もフォローできんよね。そりゃ一緒にアップルパイ食べて、残すんならもらうわ!って、普段通りのやりとりくらいしかしないよね。どうとも言えないし何ともしてあげられんもんね。

そうして、祐子さんの遺言は「人類の傘になれ」だから、彼女の遺志を尊重するなら余計に、オーラのことを放ってはおけない。
目の前で苦しむ民は助ける。それがソウゴ君の目指す最高最善の魔王だ。

 

っていう流れだと、マンホール編2話を無かったことにしなくてもよく、最新話の動きとそれなりに辻褄も合うと思うんですが、どうですかね。

(ギンガの扱い雑じゃね?という点は私は前提の知識が不足しすぎててどうとも言いようがないです。雑と言えば雑な気がするし、あんなもんやでって言われたらそっかーって思える気もするし。)

 

ところでツイッターでも書いたことをしつこくここにも書きますね。
最後の桜舞い散る中でのソウゴ君の片目泣きが最の高でした!!!!
こんな分析を考える前から、あの涙だけで「よし成程!切ない初恋の話だったな!」って心で納得してたくらいにはエモーショナルなカットだったよ。すげえいいもんみたなって思っちゃったよ。

回を追うごとに、奥野さんの演技が好きだなあって思う今日この頃なんですよ。
ジオウあと何話残ってんだろうな、寂しいな。